熊本市の株式会社ネコ不動産は、2025年5月9日より、「ペット相続士」による新たな相談サービスの提供を開始した。背景には、高齢化の進行とともに浮かび上がる「飼い主の死後、ペットはどうなるのか?」という不安だ。
ネコ不動産は、不動産仲介や相続相談を手がける中で、飼い主たちのこうした声に直面してきた。「自分に万が一があったら、この子はどうなるのか」。そんな問いに向き合う形で、今回の取り組みが始まった。
ラブポチ信託Ⓡを活用した仕組み
本サービスは、日本初のペット看取り信託「ラブポチ信託Ⓡ」を活用する。これは、認定NPO法人ピーサポネットが提供する仕組みで、飼い主の万が一に備え、ペットの生涯飼育や新たな里親探しを支援するものだ。
具体的には、飼い主が生命保険などを活用して信託契約を結び、老犬・老猫施設での終身飼育や譲渡先の確保に備える。飼い主が生命保険に加入できない場合でも、遺言書などによる対応が可能だという。
ネコ不動産の代表・鶴上万里生氏は、専用講習を経て「ペット相続士」の資格を取得。熊本市および周辺地域において、個別相談の受付を開始している。
「終活」の入り口としての役割
このサービスの対象は、高齢のペット飼育者およびその家族。相談は無料で、ペットの年齢や頭数、飼い主の年齢に応じた保険料のシミュレーションも可能だ。
「ペットは家族。だからこそ、最後まで責任を持ちたいという想いに応えたい」と鶴上氏は語る。飼い主の“もしも”に備えることは、デリケートで後回しにされがちだが、現実には避けて通れない課題だ。
この取り組みは、ペットの命を守るだけではない。不動産や資産の整理を含めた“終活”全体の入り口としても機能する点が注目される。飼い主が自らの暮らしとペットの未来をセットで考えることで、安心できる生活基盤の構築が進む。
地域に根ざした支援のかたち
熊本では、近年特に高齢者の単身世帯におけるペット飼育が一般化しつつある。しかし、孤独死や急病によってペットが行き場を失うケースも発生している。最悪の場合、殺処分に至ることすらある。
そうしたリスクを未然に防ぐためにも、「信頼できる相談先」としての存在は欠かせない。ネコ不動産は今後、地域に根ざした「終活パートナー」として、ペットとの暮らしの持続可能性を支えるサポート体制を強化していく方針である。
熊本から始まったこの取り組みが、全国各地での安心なペットライフの広がりにつながることを期待したい。
サービス詳細や相談申し込みは、ネコ不動産公式LINEにて受付中。
解説動画はこちらから確認できる: ラブポチ信託Ⓡ公式YouTube